先日スペイン音楽の本の話をした(つもり)ので、
今日はメルセデス・ソーサ(Mercedes Sosa)の歌を聴いてみました。
ソーサは、民衆の、民俗の歌を歌い続ける、アルゼンチンの女性歌手。
1975年、77年には、来日もしたそうです。
1976年から83年、アルゼンチンは軍事政権下。
一般市民へのひどい迫害が行われたといいます。
先日見た映画「ペルセポリス」が思い起こされます。
近年はワールド・ミュージック・ブームですが、当時の日本の聴衆は
どんな思いで彼女の歌を聴いたのでしょうか。
私はといえば、その頃は既に小学生から中学生時代。
学校では、アルゼンチンの社会情勢など教わりませんでした。
そして、高校生になったある晩、フェルナンド・E・ソラナス監督が
亡命先のパリで製作した映画「タンゴ~ガルデルの亡命」を見た
ときも、パリに亡命したアルゼンチン人のダンサーや楽団員が
アルゼンチンから届く家族からの手紙を読み合うシーンの意味が
理解できませんでした。
「ガルデルの亡命」の製作年は、軍事政権が終わった2年後の
1985年。
音楽とダンスが溢れる映画の中に、市民の生々しい叫びが織り
込まれていたわけですね...。
国家により身内が連れ去られ、拷問の果てに行方が知れなくなる。
そんなことを体験した人達の音楽には、強い魂が込められているの
だろうと思います。
ソーサのフォルクローレは、日本でも幅広い世代の心に届きそうな
歌声。
70代のソーサ。心配なほどの巨漢ですが、その歌声はとてもとても
とても70代とは思えない力強さを感じさせます。
フォルクローレに全く興味がない人にも、遠い国アルゼンチンの人々
が体験した歴史に思いを馳せ、その詩に自分の人生を重ね合わせ、
一度は歌声を聴いてみてください。
そういえば、アルゼンチンは日本と季節が真逆なので、今は真夏です。
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